店舗物件を選ぶとき、私はChatGPTを使って、候補地の商圏や競合、収益性を繰り返し分析しました。
ただし、出店するかどうかをAIの点数だけで決めたわけではありません。
役に立ったのは、候補ごとに共通の観点で情報を整理し、「何が良くて、何が弱いのか」を比較できたことです。確認できる情報は公式サイトや現地、不動産会社への問い合わせで確かめ、集客の見込みなど分からない部分は、仮定を置いたシナリオとして検討しました。
今回は、私が店舗物件を比較した方法と、最後に何を重視して契約へ進んだのかを振り返ります。
候補ごとに、同じ観点で分析するようにした
物件探しには、店舗物件の検索サービスを使いました。
気になる候補を見つけたら、物件の条件だけでなく、その場所で自分たちのサービスが成り立つかを考える必要があります。
家賃が安くても、想定するお客様が通いにくければ難しい。一方、駅に近くても、固定費が高すぎれば開業後の負担になります。
そこで、ChatGPTへ分析を依頼するためのプロンプトを作りました。候補地や競合情報を入れ替えながら、主に次の点を確認する仕組みです。
| 比較する観点 | 確認したかったこと |
|---|---|
| 商圏・生活動線 | 徒歩圏の人が、日常的に通える場所か |
| 人口・顧客層 | 想定する利用者と地域の特徴が合いそうか |
| 競合 | 距離だけでなく、対象顧客やサービスがどの程度重なるか |
| 費用 | 家賃と内装費を含め、無理のない負担か |
| 収益性 | どの程度の会員数で採算が合うか |
| 運営・集客 | 広さ、入りやすさ、看板、広告などに無理がないか |
プロンプトは最初から整っていたわけではありません。調べる中で気になったことを継ぎ足し、いわば「秘伝のタレ」のような状態になっていました。
それでも、毎回ゼロから考えるより、共通の項目で出力される方が候補を横比較しやすくなりました。
100点満点の評価は、結論ではなく入口だった
分析では、100点満点の総合評価も出してもらいました。
ただ、私が見ていたのは点数そのものより、そう評価された理由です。
低い点数には、それなりの理由があります。競合が近いのか、想定価格を受け入れてもらいにくそうなのか、家賃に対して必要な会員数が多すぎるのか。その中身を見て、自分たちが対応できる問題かを考えました。
また、プロンプトでは評価に含める観点を指定していたものの、細かな評価軸や配点の設計にはAIへ委ねた部分もあります。
そのため、候補間の数点の差を、厳密な優劣として扱うものではありませんでした。
点数は比較を始めるきっかけです。最終的な判断材料は、物件の実態と評価の根拠でした。
確認できる事実と、仮定が必要な予測を分けた
ChatGPTの分析を、そのまま事実として受け入れたわけではありません。
競合のサービスや料金は公式サイトで確認し、地図で位置関係を見ました。現地にも足を運び、物件の状態や利用条件などは不動産会社へ問い合わせました。
一方で、人口統計や潜在顧客層、集客の見込みについては、自分ですべてを確かめられたわけではありません。AIが整理した情報を参考にしながら、どのような前提なら成り立つかを壁打ちしていきました。
それでも、分からないものは分かりません。
周辺に対象年齢の住民がいても、そのうち何人がジムへ通いたいと思い、実際に申し込むかは別の話です。
そこで、会員数や収益性は一つの予測に絞らず、保守・標準・強気のケースで考えるようにしました。
大事なのは、予測を細かく見せることではなく、どの前提が変わると結果が厳しくなるのかを把握することでした。複数のシナリオを作っても、将来が分かるようになるわけではありません。
階数は、自分たちの集客方法と合わせて考えた
当初は、1階だけでなく、2階や地下1階も候補として考えていました。
今振り返ると、私たちのように近隣の方へ知ってもらい、通っていただく店舗では、1階を優先したいと考えています。
通りがかったときに店舗や看板が目に入ることと、入口へ近づきやすいことを重視しているためです。2階以上では、同じような認知のされ方を期待しにくいと感じます。
実際、上層階の物件を前提とした別の事業提案もありましたが、立地や事業計画が自分の方針に合わず、参加しませんでした。
もちろん、上層階では店舗経営ができないという意味ではありません。紹介や指名来店を中心にする業態など、別の集客方法もあります。
私にとっては、家賃や駅距離と同じように、「その場所で、どう知ってもらうか」を考える必要がありました。
最後の決め手は、固定費と既存設備だった
最終的に選んだ物件では、固定費に割安感があることを重視しました。
また、スケルトンではあったものの、水回りは既に整っており、そのまま使えました。その分、内装費を抑えられたことも良かった点です。
物件探しでは、月額家賃だけでなく、使い始めるまでに必要な費用も判断に影響しました。
私自身、契約時に大きな懸念が残っていたわけではありません。比較を重ねたうえで、固定費と初期費用の両面で納得できる物件を選べたと考えています。
開業時に運転資金を残す考え方は、店舗開業の資金計画の記事でも詳しくまとめています。
AIは、出店判断を代わりにしてくれるものではなかった
今回の物件選びで役に立ったのは、AIが正解を出してくれたことではありません。
調べる項目をそろえ、候補の違いを整理し、自分が何を重視しているのかを考えやすくしてくれたことでした。
同じように比較するなら、少なくとも次の点を分けておくと、判断の過程を振り返りやすいと思います。
- 公式情報や現地で確認できた事実
- まだ確認できていない情報
- 集客や収益を考えるために置いた仮定
- 自分たちにとって譲れない条件
- 契約前に解消しておきたい疑問
今なら、継ぎ足したプロンプトも整理し、候補間で評価項目や配点が変わっていないかを確認すると思います。
それでも、当時の使い方には価値がありました。
点数で物件を決めるのではなく、点数が付いた理由を見て、自分たちの事業に合うかを判断する。私にとって、ChatGPTはそのための比較と壁打ちの道具でした。
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物件選びを含めた開業準備の全体像と、契約後の内装工事については、次の記事にまとめています。





