#6 店舗の内装工事で後悔しないために|相見積もり・工程表・引き渡し確認で学んだこと

店舗の内装工事で確認したい相見積もり・工程表・引き渡しのポイント 開業日記

店舗を開業するには、物件を借りるだけでなく、実際に営業できる状態へ整えるための内装工事が必要です。

私にとって店舗の内装工事を発注するのは初めての経験でした。床や壁紙、鏡、更衣スペースなど、決めることは多くあります。しかし、最初は何を基準に見積もりを比較し、工事中に何を確認すればよいのかも分かっていませんでした。

実際に進めてみると、見積金額だけでは比較できないこと、正式な工程表を確認すること、重要なやり取りを文字に残すことの大切さを痛感しました。

発注した側にも床材の数量を間違えるなどの落ち度があります。それでも、最初に確認事項を整理していれば、避けられた行き違いもあったと思います。

今回は、初めて店舗の内装工事を経験して分かったことを、これから店舗を開業する方に向けてまとめます。

5社に声をかけ、実際に見積もりを取れたのは2社だった

内装工事を依頼するにあたり、最初に5社へ声をかけました。

しかし、2社は途中から連絡がつかなくなり、もう1社は連絡こそあったものの、回答にかなり時間がかかりました。最終的に、見積もりを取るところまで進んだのは2社です。

この段階で、金額や提案内容だけでなく、連絡の速さや進め方も依頼先を選ぶ判断材料になると感じました。

開業準備では、内装工事以外にも、設備の購入、広告、予約システム、プレオープンの準備などを並行して進めます。連絡がなかなか取れない状態が続くと、その後の予定も決めにくくなります。

2社の見積もりは金額だけでなく条件も大きく違った

最終的に提示された2社の見積もりには、大きな違いがありました。

1社目の見積もりは100万円弱でした。ただし、店舗内を細かく計測したうえでの提案ではなく、主な工事内容は床と鏡でした。店舗デザインについては別途費用がかかるという条件です。

もう1社は、実際に店舗を計測したうえで、必要な床材、壁紙、更衣スペースなどについて細かい提案がありました。当初の見積額は200万円程度でしたが、予算や他社の見積額を共有して相談し、最終的には150万円程度で引き受けていただくことになりました。

金額だけを見ると、100万円弱と150万円程度の比較になります。しかし、含まれている工事や提案の範囲が異なるため、単純に安い方を選べるものではありませんでした。

私は店舗の内装工事を経験したことがなく、自分では気づけていない点も多くありました。そのため、床材や壁紙、更衣スペースなどについて具体的に提案してもらえたことは助かりました。

物件選びから開業準備全体の流れについては、会社員がセミパーソナルジムを開業するまで|資金計画と物件選びの実録でまとめています。

一方で、提案内容が充実していることと、工事の進め方が分かりやすいことは、別に確認する必要があります。

相見積もりでは同じ条件を提示しないと比較できない

今回の経験から、相見積もりを取るときには、各社へできるだけ同じ条件を伝える必要があると分かりました。

少なくとも、次の点は事前に整理しておいた方がよいと思います。

  • どこまでの工事を依頼するのか
  • 店舗デザインは見積もりに含まれるのか
  • 床材や壁紙などを誰が調達するのか
  • 材料の必要数量は誰が算出するのか
  • 鏡やカーテンレールなどの設置費用を含むのか
  • 廃材処分や清掃が含まれているのか
  • 追加費用が発生する条件は何か
  • 工期が延びた場合の費用をどう扱うのか

私の場合は、内装工事の頼み方自体がよく分からず、各社へまったく同じ条件を提示できていたわけではありませんでした。

そのため、見積額の差が価格の違いなのか、工事範囲の違いなのかを判断しにくい状態になりました。

相見積もりは、単に複数の金額を集めるためのものではありません。依頼内容を明確にし、各社の提案範囲や条件を比較するためのものだと考えた方がよさそうです。

床材の発注数量を間違え、追加費用が発生した

今回の工事では、床材をこちらで調達することになっていました。

ところが、見積もりに記載されていた数量より少ない枚数で発注してしまいました。床材が足りなかったこと自体は、こちらの確認不足です。

一方で、床材が店舗へ届いてから数日後に数量不足の連絡があり、さらに短期間のうちに不足分をそろえなければ、その後の工程を進められないと伝えられました。

急いで追加分を手配し、指定された日の午前中に店舗へ届くようにしました。しかし、納品時刻や当日の作業状況について、こちらが確認した内容と先方から受けた説明に食い違いが生じました。

その後、工期を1日延長するための追加費用として、数万円を支払うことになりました。

プレオープンまでの準備を急ぐ必要があったため、その時点では支払いに応じました。しかし、後から作業状況を確認すると、本当に1日の延長が必要だったのか、私には十分に理解できない部分が残りました。

床材の数量を間違えた責任はこちらにあります。ただし、次の点を事前に確認していれば、行き違いは減らせたと思います。

  • 必要な材料の数量と算出根拠
  • 納品後、いつ数量を確認するのか
  • 材料不足によって止まる工程
  • 材料不足と直接関係なく進められる工程
  • 工期延長と追加費用が発生する条件
  • 追加費用を決定する前の確認方法

「施主支給」と言われた材料を自分で注文する場合でも、発注数量まで自己判断にせず、施工会社と書面で確認してから注文するべきでした。

完了予定日だけでなく、工程表も確認する

今回の工事では、おおよその完了予定日は知らされていましたが、正式な工程表はありませんでした。

そのため、日ごとに何人が入り、どの作業を進め、いつまでに何が完成するのかが分からない状態でした。

完了日だけを見れば、1日程度の変更があっても、その後のスケジュールへ大きな影響はありませんでした。しかし、工程の詳細が分からないと、工事が予定どおり進んでいるのか、追加費用に合理性があるのかを発注側が判断できません。

少なくとも、次のような内容は工程表で共有してもらう必要があると思います。

  • 工事の開始日と完了予定日
  • 床、壁紙、鏡などの施工予定日
  • 材料の搬入日
  • 施主側が準備するものと期限
  • 各工程の前提条件
  • 遅れが発生した場合の連絡方法
  • 引き渡し前の確認日

詳細な作業管理まで発注側が行う必要はありません。

ただ、自分がどの工事へ、いくら支払っているのかを確認できない状態のまま注文することは避けた方がよいと感じました。

内装費を含めた開業資金の配分については、店舗開業の資金計画|自己資金700万円を使い切らず運転資金を残した理由でも詳しく書いています。

重要なやり取りは電話だけで終わらせない

工事中の連絡は、電話で行われることが多くありました。

電話は急ぎの連絡には便利ですが、後から内容を確認できません。工期や追加費用について認識が食い違ったときに、「言った」「言わない」という話になってしまいます。

そのため、私は何度か、重要な内容については文字に残る形で連絡してほしいとお願いしました。

電話で話した場合も、通話後にメールやメッセージで、次のように確認しておくと記録になります。

  • 話した日時
  • 確認した内容
  • 誰が何を準備するのか
  • 期限
  • 金額
  • 工程への影響
  • 双方が合意した対応

施工会社を疑うためではなく、発注側と施工側の認識をそろえるために必要な作業です。

特に、追加料金や工期変更に関する内容は、支払いへ応じる前に、発生理由と金額を文字で確認すべきでした。

引き渡し前は「気になるところがないか」を細かく見る

工事の引き渡し前には、汚れが残っている箇所を見つけましたが、こちらは対応していただきました。

そのほかにも、営業準備を進めるなかで細かな不具合が見つかりました。

例えば、ドアが開けにくかったため、最初は油が足りないのかと思いました。しかし、調べてみると、貼り付けた床材がドアに干渉していました。また、鏡にもきれいに拭き取られていない部分がありました。

大きな工事が終わると、全体が完成したことに安心してしまいます。しかし、実際に店舗を使うつもりで動かしてみると、細かな不具合に気づくことがあります。

引き渡し前には、少なくとも次の点を確認した方がよいと思います。

  • ドアや窓が問題なく開閉できるか
  • 床材に浮きや干渉がないか
  • 壁紙に剥がれや汚れがないか
  • 鏡に傷や汚れがないか
  • カーテンやレールが問題なく動くか
  • コンセントや照明を使用できるか
  • 清掃が完了しているか
  • 見積もりどおりの工事が行われているか

可能であれば、引き渡し確認は1人ではなく、複数人で行った方がよいと思います。見る人が変わると、気づく箇所も変わるからです。

指摘した箇所については、写真を撮り、対応内容と期限を記録しておくと確認しやすくなります。

発注側にも準備と確認の責任がある

今回の内装工事については、施工会社の進め方に疑問を感じた部分がありました。

一方で、こちらも床材の数量を間違えています。また、工事を依頼する前に、工程表、追加費用の条件、材料の確認方法などを十分に詰められていませんでした。

店舗の内装工事を初めて発注する立場では、何が分からないのかも分かりません。しかし、「専門業者へ任せたから大丈夫」と考えるのではなく、分からないことを確認し、合意した内容を記録する責任は発注側にもあります。

今回は追加費用も含め、授業料を支払ったと考えるようにしています。

もし2店舗目、3店舗目を出す機会があれば、今回の経験を生かして、次のことを最初から行います。

  1. 複数社へ同じ条件を提示して見積もりを依頼する
  2. 見積もりに含まれる工事と含まれない工事を確認する
  3. 施主支給品の数量と責任範囲を書面で決める
  4. 契約前に工程表を確認する
  5. 追加費用が発生する条件を明確にする
  6. 重要な連絡は文字に残す
  7. 引き渡し前にチェックリストを使って確認する

まとめ

店舗の内装工事では、見積金額だけを比較しても、適切な依頼先を判断できません。

工事範囲、提案内容、材料の調達方法、追加費用の条件、工程の共有方法まで確認して、初めて比較できるようになります。

今回、特に重要だと感じたのは次の3点です。

  • 相見積もりは、できるだけ同じ条件で依頼する
  • 完了予定日だけでなく、工程表を確認する
  • 工期や費用に関するやり取りは文字に残す

初めての店舗開業では、知識不足による失敗を完全になくすことは難しいと思います。

それでも、発生した問題を施工会社への不満だけで終わらせず、次回の確認項目へ変えることはできます。

私自身も、今回の経験を次の出店や今後の店舗運営に生かしていきたいと考えています。

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