※この記事は、正式開業前に少人数で実施したプレオープンの記録です。限られた事例から得た一つの判断であり、初回体験の適正人数や入会率を一般化するものではありません。
セミパーソナルジムのプレオープンを始めた当初、初回体験に何人まで参加してもらうかについて、明確な正解を持っていたわけではありません。
少人数制のトレーニングなので、複数人への指導自体はできます。実際、トレーニング中に一人ひとりへ対応することについては、3人同時でも大きな問題は感じませんでした。
ところが、実際に体験を重ねる中で、難しさはトレーニング中ではなく、その後の質問や入会説明にあると分かりました。
その経験から、初回体験は最大2名までとすることにしました。
この記事では、プレオープンで何が起き、なぜ体験人数を見直したのかをまとめます。
店舗を開業するまでの全体像については、会社員がセミパーソナルジムを開業するまで|資金計画と物件選びの実録でまとめています。
最初は2名ずつの体験から始めた
最初のプレオープンでは、2名ずつ、別の時間帯に初回体験を実施しました。
合計4名が体験し、そのうち3名が入会しました。その後、1名で体験した方も入会しています。
この時点では、複数人で体験を受けてもらうことに、特に大きな問題は感じていませんでした。
セミパーソナルジムは、もともと一人のトレーナーが少人数へ同時に指導するサービスです。体験時も、参加者ごとに負荷や種目を調整すれば、複数人へ対応できます。
そこで別の日には、3名同時で初回体験を行いました。
結果として、この回では当日の入会者はいませんでした。
プレオープン時の実績を整理すると、次のようになります。
| 体験方法 | 体験者数 | 当日の入会者数 |
|---|---|---|
| 2名ずつ別時間帯 | 合計4名 | 3名 |
| 1名で実施 | 1名 | 1名 |
| 3名同時 | 3名 | 0名 |
もちろん、この人数だけを見て「2名なら入会し、3名なら入会しない」と結論づけることはできません。
参加者の目的やタイミングはそれぞれ異なります。3名全員が入会する可能性もあったはずです。
それでも、3名同時の体験では、運営方法を見直すきっかけになる出来事がありました。
トレーニング中の個別対応は可能だった
3名同時だからといって、トレーニングそのものが成立しなかったわけではありません。
少人数制のトレーニングでは、全員が同じ種目を同じ負荷で行うとは限りません。参加者の経験や目的に応じて内容を調整し、トレーナーが順番に動きを確認します。
今回も、トレーニング中の個別対応は可能でした。
この点は、通常のセミパーソナル指導と大きく変わりません。
問題を感じたのは、トレーニングが終わった後でした。
難しかったのは、体験後の質問と入会判断だった
体験後には、参加者からの質問に答え、料金や利用方法を説明します。そのうえで、入会するかどうかを確認します。
3名同時に体験した回では、そのうちの1名は入会に前向きなように見えました。
しかし、別の1名が質問したうえで「検討したい」という意向を示すと、最終的には全員が検討するという結果になりました。
これが集団心理によるものだったのかは分かりません。
もともと全員が検討するつもりだった可能性もあります。誰かの発言が、他の参加者の判断を変えたと断定することもできません。
ただ、同じ場所で順番に意思を確認すると、先に答えた人の反応が、その後に答える人へ何らかの影響を与える可能性はあります。
一人が「入会します」と言えば、他の人も入会しやすくなるかもしれません。
反対に、一人が「検討します」と言えば、前向きだった人も、その場で決めることをためらうかもしれません。
3名全員が入会する可能性がある一方で、全員がそろって検討する可能性もある。
事業者の立場からすると、3名が体験に来てくれたにもかかわらず、当日の入会が0名になることは決して小さくありません。
しかし、それ以上に気になったのは、参加者がそれぞれ自分の疑問を十分に確認し、自分自身の判断として回答できる環境になっていたかという点でした。
初回体験を最大2名に変更した
この経験を受け、初回体験は最大2名までとすることにしました。
2名であれば、トレーニング後にも一人ひとりの質問へ時間を取りやすくなります。
同じ説明をまとめて行う部分があっても、その後に、
- 不安に感じていることはないか
- 利用頻度やプランについて疑問はないか
- 実際に続けられそうか
- 入会についてどのように考えているか
といった点を、個別に確認しやすくなります。
入会を強く勧めるために人数を減らしたわけではありません。
入会する場合も、検討する場合も、他の参加者の反応ではなく、自分の考えとして答えてもらえる状態をつくりたいと考えました。
参加者同士で一緒に体験できる気軽さを残しながら、一人ひとりへ丁寧に対応できる人数として、最大2名が現時点では妥当だと判断しました。
受け入れ人数を増やせば効率が上がるとは限らない
事業者側だけを見れば、一度に多くの人を受け入れた方が効率的に見えます。
同じ時間内に3名が体験し、全員が入会すれば、1名ずつ実施するよりも効率よく会員を増やせます。
一方で、受け入れ人数を増やした結果、一人ひとりへの説明が薄くなったり、質問しにくくなったりすれば、体験の質は下がります。
体験人数を考えるときは、トレーニング中に指導できる人数だけで判断してはいけないと感じました。
初回体験には、
- 店舗やサービスの説明
- 目的や経験の確認
- 実際のトレーニング
- トレーニング後の質問
- 料金や利用方法の説明
- 入会するかどうかの判断
まで含まれます。
トレーニングを同時に行える人数と、初回体験全体を丁寧に進められる人数は、必ずしも同じではありません。
料金や予約設計と同じく、誰かに無理が生じない形を考える
初回体験の人数は、料金や予約枠とも関係します。
多くの体験者を受け入れても、説明が十分にできなければ、参加者は不安を残したまま帰ることになります。
反対に、人数を絞りすぎれば、体験できる枠が少なくなり、希望する日時に予約できない人が増える可能性があります。
どちらか一方だけを優先すればよいわけではありません。
今回の店舗では、予約の取りやすさ、利用者の継続、トレーナーの稼働を考え、通い放題ではなく回数制の料金プランを採用しました。
その考え方については、セミパーソナルジム開業時の料金設定|通い放題にしなかった理由で詳しくまとめています。
初回体験についても同じように、できるだけ多くの人を受け入れることだけでなく、参加者とトレーナーの双方に無理がない人数を考える必要がありました。
最大2名が正解かは、これから検証する
今回、初回体験を最大2名に変更したのは、一度のプレオープンだけで得た判断です。
2名にすれば必ず入会率が上がるわけではありません。1名で実施した方が話しやすい人もいれば、知人と2名で参加した方が安心できる人もいるはずです。
今後は、
- 1名と2名で質問の出方に違いがあるか
- 体験後の説明に必要な時間
- 参加者が相談しやすい人数
- 入会後のプラン選択
- 予約枠をどの程度確保すべきか
などを確認していきます。
現時点で分かったのは、初回体験の人数は、トレーニングを指導できる人数だけでは決められないということです。
体験後の質問に丁寧に答え、それぞれが自分の意思で判断できるところまで含めて、初回体験の設計です。
プレオープンで3名同時の体験を行ったことで、その点に気づくことができました。

