※この記事は2026年8月下旬時点の記録です。今回立ち上げる「Rootlane fitness & lifestyle」は現在プレオープン中で、2026年9月の正式開業を予定しています。
この記事では、店舗経営の経験がなかった会社員が、セミパーソナルジムを開業するまでに実際に何を考え、何を決めてきたのかをまとめます。
主に次のような内容です。
- なぜセミパーソナルジムを始めることになったのか
- 700万円の事業資金をどう考えたのか
- 料金や会員数をどう計画したのか
- 約30件の物件に問い合わせ、何を基準に店舗を決めたのか
- 契約や内装を実際に進めて分かったこと
もともと店舗経営を目指していたわけでも、フィットネス業界で働いていたわけでもありません。
きっかけは、私自身が通っていたセミパーソナルジムが突然閉店したことでした。
そこで一生懸命トレーニングを指導してくれていたトレーナーと、閉店をきっかけに今後について話す機会がありました。
それなら、自分たちで新しく始めることはできないだろうか。
2026年5月のゴールデンウィーク明けに改めて話をして、私から「一緒に始めませんか」と声をかけました。
これが今回の開業の出発点です。
そこから約3か月、事業計画、料金、物件、内装、契約、集客、会計、予約システムなど、店舗をつくるために必要なことを一つずつ調べてきました。
この記事を書いている現在は、まだ正式開業前です。
つまり、ここで書いている計画や判断が本当に正しかったのか、まだ答えは出ていません。
だからこそ、結果が分かってからきれいに振り返るのではなく、開業前に何を考え、どこで迷い、なぜその選択をしたのかを今の段階から残しておこうと思います。
なぜセミパーソナルジムだったのか
私自身、セミパーソナルトレーニングを7年ほど続けてきました。
人見知りということもあり、マンツーマンで常に自分だけを見られながらトレーニングする環境は、私には少し緊張します。
必要なところではトレーナーに見てもらい、それ以外は自分のトレーニングに集中する。
私にはそのくらいの距離感が合っていました。
ただ、7年間も続けられた理由を振り返ると、それだけではありません。
トレーナーが良かったことはもちろんですが、同じ時間帯に通っている会員と少しずつ顔見知りになったことも大きかったと思います。
もちろん、会員同士で積極的に交流する必要があるわけではありません。
ただ、同じ時間帯に顔を合わせる中で、自然に挨拶したり、少し話をしたりする。
その程度の緩やかなつながりがあることも、私にとっては通い続けやすさの一つでした。
一人で黙々と運動するだけでもない。
かといって、マンツーマンでトレーナーと向き合い続けるわけでもない。
トレーナーとの適度な距離感と、会員同士の緩やかなつながり。
自分自身が長く続けてきた経験から、セミパーソナルという形には一定の価値があるのではないかと考えました。
物件を探す前に「事業として成立するか」を考えた
トレーナーに声をかけた後、すぐに物件を契約したわけではありません。
最初に考えたのは、
この事業はそもそも成立するのか
ということでした。
最大4人・40分の基本設計は比較的早く決まった
サービスの基本形については、比較的すんなり決まりました。
1枠40分、最大4名。
月4回、8回、12回を基本プランにする。
この部分は、セミパーソナルジムで現場経験があるトレーナーの知識を生かしました。
営業時間については最初から固定しすぎず、体験予約や会員数に応じてトレーナーが枠を設定できるようにしています。
自分が知らないことを全部一から決めるのではなく、現場経験がある部分はその経験を生かす。
一方で、料金、収支、資金管理などは事業として考える。
自然とそのような役割分担になりました。
一番の検討事項は料金と集客だった
料金は次のように設定しました。
| プラン | 月額(税込) |
|---|---|
| 月4回 | 19,800円 |
| 月8回 | 29,800円 |
| 月12回 | 36,800円 |
| 月8回+月1回パーソナルレビュー | 36,800円 |
セミパーソナルジムは、パーソナルジムほど店舗数が多くなく、単純に比較できる料金事例も限られています。
そこで、パーソナルジムを含む周辺の競合も調べながら、トレーナーと相談して決めました。
開業準備の中でも、特に慎重に考えたのが、
この価格で実際に選んでもらえるのか
という点です。
料金を下げれば入りやすくなるかもしれません。
しかし、それで事業として成立しなければ長くサービスを提供できません。
反対に、事業者側の都合だけで値段を決めても、お客様に価値を感じてもらえなければ意味がありません。
そのバランスをどう取るかは、最後まで考え続けた論点でした。
自分の経験から「パーソナルレビュー」を加えた
料金プランの中で一つ特徴的なのが、「月8回+月1回パーソナルレビュー」です。
これは私自身のトレーニング経験から考えました。
長く運動していても、
「このフォームで本当に合っているのだろうか」
と思うことがあります。
そして後から、実際には正しくできていなかったと分かった経験もありました。
普段はセミパーソナルで気軽に通いつつ、定期的にマンツーマンでフォームや身体の状態を確認してもらう。
そうした機会を必要とする人はいるのではないかと考え、プランに加えました。
開業資金は700万円。店舗づくりだけには使わない
事業資金として用意する目安は700万円としました。
最初はかなり大まかに、次のように考えていました。
| 用途 | 当初想定 |
|---|---|
| 物件取得・内装 | 約300万円 |
| トレーニング器具等 | 約100万円 |
| システム・広告・人件費・その他 | 約50万円 |
| 運転資金 | 約250万円 |
| 合計 | 約700万円 |
ポイントは、700万円をすべて店舗づくりに使わないことでした。
店舗を開くまでに約450万円。
残り約250万円は、開業後に会員数が増えていくまでの運転資金として残す。
そんな考え方です。
準備を実行する段階では、さらに各支出について、
理想ライン・許容ライン・危険ライン
を設定しました。
店舗づくりをしていると、
「せっかくだから、もう少し」
という支出が次々に出てきます。
一つ一つは10万円でも、それが積み重なれば簡単に予算を超えます。
そのため、何にいくらまで使えるのかを先に決めておくことにしました。
会員数も一つの予想にはしなかった
会員数についても、一つの数字だけを予測することはしませんでした。
保守ケース・標準ケース・強気ケース
の3つを作っています。
事業計画上の損益分岐点は、現在の料金や費用構造を前提にすると約23人です。
開業初期からそこへすぐ到達する前提にはせず、会員数が増えるまでの期間を運転資金で吸収できるようにしました。
つまり、
損益分岐点を何人にするか
だけではなく、
そこへ到達するまで何か月かかっても耐えられるか
まで含めて資金計画を考えています。
もちろん、これは開業前につくった計画です。
その通りになる保証はありません。
今後このブログでは、
計画では何人だったのか。実際には何人だったのか。
その差も記録していきたいと思っています。
開業後の「確認基準」も先に決めた
事業計画では、順調に伸びるケースだけを考えたわけではありません。
物件を契約する前から、開業後3か月、6か月、12か月を節目として、事業の状況を確認する方針を決めています。
見るのは会員数だけではありません。
売上、利益、手元資金、集客の状況、改善できる余地、運営体制などを合わせて確認します。
計画との差が大きければ、原因を整理し、集客方法や運営方法を見直す。
開業した後に感覚だけで判断しないよう、あらかじめ確認する時期と判断軸を決めておく。
これは物件を契約する前から意識していたことです。
約30件に問い合わせた物件探し
事業計画がある程度まとまってから、本格的に物件を探し始めました。
主な条件は、
- 賃料は月25万円まで
- 10〜15坪程度
- 地下1階〜2階
- 駅前にはこだわらない
というものでした。
「駅近」より生活圏を重視した
駅徒歩3分、5分といった条件には、それほどこだわりませんでした。
パーソナルジムや24時間ジムが数多くある中で、セミパーソナルジムのためだけに電車に乗って通う人は、それほど多くないのではないかと考えたからです。
それよりも、
徒歩なら15分程度。
自転車なら1〜1.5km程度。
そのくらいの生活圏に住む人が、日常生活の中で無理なく通える店舗を想定しました。
近所で繰り返し顔を合わせる人が同じ店に通い、場合によっては自然に顔見知りになる。
そうした緩やかな地域とのつながりも、セミパーソナルという業態とは相性がよいのではないかと考えています。
広さの条件は途中で見直した
最初は45〜55㎡程度の物件も想定していました。
ところが、トレーナーと相談する中で、
「広すぎると、セミパーソナルらしい距離感が薄れるのではないか」
という話になりました。
もちろん、最大4人が安全にトレーニングでき、トレーナーが全員の動きを確認できる広さを確保することが前提です。
そのうえで、それぞれが完全に離れて過ごすほど広い空間より、他の会員の存在を自然に感じられるくらいの距離感の方が、セミパーソナルらしいのではないか。
私自身の利用経験とも合う考え方でした。
そこで条件を見直し、最終的には40㎡を大きく超えない物件を意識するようになりました。
問い合わせ30件、内見7〜8件
内見について問い合わせた物件は、およそ30件です。
実際に内見まで進んだのは7〜8件でした。
店舗物件は、住宅探しとはかなり違います。
ネット上では条件が良さそうでも、ジム用途が難しかったり、契約条件が合わなかったりします。
「良さそうな物件を見つけること」と「そこで事業を始められること」は別でした。
一度は審査まで通った物件を見送った
物件探しの途中では、一度、審査まで通った物件もありました。
賃料や広さは事業計画の範囲内で、ジム用途も認められていました。
それでも、契約書案と重要事項説明書案を確認した結果、契約を見送りました。
契約期間、中途解約、設備の責任、工事条件、看板や駐輪、退去時の負担などを総合すると、今回の事業には適していないと判断したためです。
ここで学んだのは、
審査に通ったことと、契約してよい物件であることは別
ということでした。
店舗物件は「借りられるか」だけではなく、
安全に開業できるか。
無理なく運営できるか。
長期的に事業を続けやすい条件か。
まで含めて考える必要があります。
この経験は、その後の物件選びにかなり役立ちました。
最終的に選んだのは、約35㎡・家賃15万円台の1階物件
最終的に東京都内の1階物件を契約しました。
広さは約35㎡、家賃は月15万円台です。
決め手は主に3つありました。
一つ目は、想定していた顧客層と思われる人の往来があったこと。
二つ目は、大がかりな造作を避け、比較的シンプルな内装で営業を始められそうだったこと。
三つ目は、家賃を抑えられたことです。
店舗ビジネスでは、開業時の費用だけでなく、その後毎月発生する固定費が効いてきます。
会員数がまだ少ない開業初期でも、家賃は毎月発生します。
そのため、
必要なサービス品質を実現できることと、無理なく払い続けられる固定費であること。
その両方を重視しました。
内装工事で分かった3つのこと
物件が決まった後は内装工事です。
ここでも、実際に経験するまで分からなかったことがありました。
今回の一つの事例だけで一般化することはできませんが、次に店舗をつくるなら、少なくとも次の3つは必ずやると思います。
1.相見積もりを取る
今回取得した見積もりは、業者によって金額にかなり差がありました。
工事内容や前提条件が違えば単純比較はできません。
それでも、一社だけの見積もりで判断せず、複数社から見積もりを取ることは重要だと感じました。
価格だけでなく、
- どこまでが工事範囲なのか
- 何が見積もりに含まれているのか
- 追加費用が発生する可能性はあるのか
まで比較した方がよいと思います。
2.工程表をもらう
工事が始まる前に、
「いつ、何をするのか」
「どの時点で何が完成するのか」
をできるだけ具体的に共有してもらった方がよいと思います。
開業準備では、内装以外の作業も工事完了日に依存します。
写真撮影、器具搬入、広告、プレオープン準備などです。
工程が見えないと、その後の予定も組みにくくなります。
3.重要なやり取りは文字に残す
細かな仕様や工程については、双方の認識がずれる可能性があります。
そのため、
「言った」「言わない」
にならないよう、重要なことは口頭だけで済ませず、メールやメッセージなど、後から確認できる形に残す。
これも今回の経験から強く感じたことです。
内装の費用や実際の進め方については、別の記事で詳しく整理する予定です。
物件が決まっても、開業準備は終わらない
物件と内装以外にも、開業までに決めることは数多くありました。
例えば、
- 会員規約
- 体験利用のルール
- プライバシーポリシー
- トレーナーとの契約
- 保険
- 月会費決済
- 店頭決済
- 予約・会員管理
- ホームページ
- LP
- Googleビジネスプロフィール
- SNS
- Web広告
- チラシ
- 会計処理
などです。
一つずつ調べ、必要なものを準備しました。
特に予約については、月4回・8回・12回という利用回数に加えて、繰越やキャンセル待ちなども扱う必要があります。
そのため、店舗の運用に合わせた予約・回数管理の仕組みも準備しています。
このあたりは一つの記事に入れるには論点が多すぎるため、今後それぞれ個別に書いていくつもりです。
正式開業前の今、計画の答え合わせはこれから
2026年5月のゴールデンウィーク明けに話を始めてから、約3か月半。
現在はプレオープンまで来ました。
体験の集客についても、現時点では一定の手応えを感じています。
とはいえ、開業準備で立てた計画が本当に妥当だったのかを判断するのはこれからです。
会員数は計画どおり増えるのか。
広告はどの程度効くのか。
料金設定は適切だったのか。
会員に長く続けてもらえるのか。
実際に店舗を運営して初めて分かることは、まだ数多くあると思っています。
今からやり直すなら、物件選びだけは妥協しない
もし2026年5月の自分に一つだけ伝えるとすれば、
物件選びは、時間がかかっても妥協しない方がいい
と言います。
競合をしっかり調べる。
実際に街を歩く。
どんな人が暮らしているのかを見る。
周辺の店舗や生活動線を見る。
そして、自分たちがつくろうとしている店舗が、その地域に馴染むのかを考える。
店舗ビジネスは、一度場所を決めれば簡単には移動できません。
広告は変えられます。
料金も変えられます。
ホームページも作り直せます。
しかし、店舗の場所を変えるには大きなコストがかかります。
だから私は今回の経験を通じて、
「物件選びの成功は七難隠す」くらいのつもりで慎重に選んでもよい
と感じるようになりました。
もちろん、今選んだ物件がどの程度事業に合っていたのかも、これから実績を見ながら検証していきます。
開業ジャーナルでは「計画」と「実績」の両方を残します
この記事で書いたのは、まだ開業までの話です。
店舗をつくることと、店舗を経営することは別です。
これから実際にお客様に来てもらい、続けてもらい、売上をつくり、店舗を維持して初めて事業として成り立ちます。
開業ジャーナルでは、今回のRootlane fitness & lifestyleを一つの実例として、
事業計画、開業費用、物件、内装、契約、集客、広告、会計、システム、そして開業後の運営まで記録していきます。
成功したことだけを書くつもりはありません。
当初はこう考えていた。
実際にはこうなった。
予想が外れた。
予定外のお金がかかった。
今なら違う判断をする。
そうした部分も含めて残します。
だからこそ、結果が出る前の計画を今ここに残しておくことに意味があると思っています。
半年後、1年後。
この記事に書いた計画と実際の結果がどれくらい違っていたのか。
それもこのブログで報告していきます。